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「なあ、記憶はどうするんだ? それに、最初に分けられた、その他の魂は捨てるのか?」
俺は大蔵に耳打ちをした。
死神にこの世界の事をあまり知らないとバレるのが、なんとなく怖かった。
「おや? 何も知らない方も、いらっしゃるのですねぇ。君、予備校には行かなかったのですか? 試験はどうされたのです?」
死神は異常に耳が良いらしい。
「彼は予備校にも通わず、試験も受けずに入社したんです!」
その話になると、機嫌が今だに悪くなるのが良く分かる口調で、薫が答えた。
「それは珍しいですね。変わった子が居るなと思ってはいましたが……日本支部も久し振りに新入社員を取ったかと思えば、そんな採用方法も初めて聞きました。なるほど――工場長が案内したがっていた訳ですね。残念ながら社長に呼ばれて、今日は工場に居ませんが……」
死神にまで「変わっている」と言われるとは……やはり、この世界で俺は劣等生なのかも知れない――。
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