一章 屈辱の先

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 女子高生のおかげでエレベーターはすぐに開き、乗り込む事が出来た。  エレベーターが動き出すと、多少心臓の鼓動が早くなるのを感じる――。 「あんな三流会社でも、初出勤だしな……」  大きく息を吸い込み、それを全て吐き出した所で、エレベーターは三階に着いた。    扉が開き、一歩足を踏み出して左を向くと、嫌でも視界に入ってくる『ステキ企画』……。  自動ドアに大きく書かれたその白い文字を見ると、センスの無さに不安が募る……。  一応、ゲームアプリの企画、制作をしているのだから、もうちょっとまともなアイデアは思い付かなかったのだろうか?     ゲームは割と好きで、自分が制作した商品がヒットでもすれば独立して稼げるかも……と言う、小学生でも思いつくような安易な考えでエントリーした会社だったが、試験も面接も無くあっさりパスしてしまった。  まあ、有名一流大学の人間がこんな小さい三流会社を希望すれば、それも頷けた。
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