三章 死神工場

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「魂です」  薫が得意気に答える。 「流石ですね、正解です。この工場では、最初に出た再生不可能な魂をこの様に梱包して、三日に一度、悪魔に渡しています」  サマーが段ボールの前に行き、その内の一つを軽々と持ち上げると、青い観音扉の左前に置いた。  それを見た門番が残りを同じ様に運ぶ――。 「再生不可能と言うのはつまり、人間が生きている間に犯した罪が重いと、その魂は再利用が出来なくなってしまうと言う事です。そんな魂はこうして二万も居る、悪魔の食料になります」 「二万ですか……しかし、この量で足りるのですか?」  質問をする俺の顔を、薫が面白くなさそうに見る。 「確かに見た目は少なく感じますが、魂の体積は非常に小さいので、一箱に六千人分入っています。ですので多少の誤差はありますが、一日一食で三日分――つまり、六万人分もの魂が悪魔に渡されるのです。ちなみに調味料は六日に一度なので、今回は有りません」  魂を食べる悪魔か……段々怖くなってきた。 「そう言えば、柳原さんは記憶の事も気にしていましたね。記憶は本社ビル内に有る、資料館へ保管されます。人間の記憶は非常に役に立つのです。この工場も昔は全て手作業でしたか、人間の記憶の中に有る技術のお陰で、私達も随分楽になりました。本当に素晴らしい事です。人間の魂には無駄が一つも無い! 尊敬に値します!」  サマーは嬉しそうに言うが、こちらとしては、やはり少し複雑な気分だった。
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