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「……ちっ!」
俺がエレベーターを降りて会社の前に立ってから、すでに二分もの時間が経過しようとしていた。
動けない――その理由は二つある。
一つ目は、自動ドアが開かない事だ。手動式だが、ボタンを押しても反応が無い。
二つ目は、誰かに訴えようにも社内に人間が一人も居ない――。
まるで休日の様に静かだ。
良く考えてみれば、このビルに入ってからあの女子高生以外に、誰にも会ってないな?
いくら小さなビルとは言え、朝の出勤時間に誰にも会わないのは、流石におかしい……。
静まりかえる三階フロアに焦り始めた時、古いエレベーター独特の作動音が聞こえた。
「誰か来る……」三階に止まることを願いながらも、また俺の心臓は少し高鳴っていた。
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