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翌朝、俺はまだ眠い目を擦りながら、本社の研修室に居た。
いつになったら、睡眠欲が無くなるのだろう? 朝が弱い方なので、寝なくても生きて行けるのはかなり嬉しいのだが、この分だとまだ時間は掛かりそうだ。
「昨日は凄かったね! 死神なんて見たの初めてだよ。でもやっぱり、あの形はちょっと不気味だな」
俺の隣に座っている大蔵が、自分の鞄からノートとボールペンを取り出した。
「そうか? それより俺は、あの悲鳴の方が頭から離れないよ……」
「そっか、歩達は聞いたんだよね『魂の叫び』……まともに食らうと、廃人になるんだよね。マジで行かなくて良かった」
工場で聞いたあの悲鳴――今日の寝不足の原因だ。
あれは、悪魔が人間の魂を食べる時に出る断末魔だと言う――悲しみと恐怖、それに後悔……色々な負の感情が混ざったその声を思い出すと、また俺は鳥肌が立った。
幸い、俺達が聞いたのはあれでもほんの一部だったので、助かったらしい。
悪魔の食事時間は四時間あり、俺達が悲鳴を聞いた時は、まだ食事が始まったばかりで、そこまで人数が集まっていなかったそうだ。
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