四章 武器庫の罠

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「……そして異例ではあるが、それぞれ先輩と組んで、君達にも明日から調査に出てもらう事になった」 「えっ? 明日から、いきなりですか?」  課長の言葉終わりに大蔵は驚いていたが、薫はとても嬉しそうに笑みを浮かべていた。 「ああそうだ。危険なのは承知しているが、今は案件の数が多く、人材が足りない。君達の手も借りなければならない」 「もしかして、武器も?」  薫は少し、興奮している様子だった。 「もちろんだ。実際に現場へ出るからな。そんな訳で、これから武器庫へ行って、自分の使用する武器を選んでもらう」  そう言いながら、早川課長はズボンのポケットを探ったが、目当ての物が無かった様だ。 「武器庫はこの下の階にある――エレベーターを降りて目の前だから、すぐに分かるだろう。部屋の前で待っていてくれ。俺も総務で鍵を貰ってから、そっちに行く」  早川課長はそう言って、研修室を出て行った。 「明日からいきなり仕事よ! しかも武器まで貰えるなんて! 夢みたい!」  薫は、少し涙目になっていた。  そんなに嬉しい事なのだろうか? しかも、武器って……相当危険じゃないのか? 「薫、テンション高いな」  そう言う大蔵も、どことなく嬉しそうだ。 「当たり前じゃない! この為に今まで努力してきたのよ! 武器なんて、研修が終わっても貰えない場合だってあるんだから! さっ、早く行きましょ!」  俺達は課長の指示通り、足早に武器庫へ向かった。
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