四章 武器庫の罠

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 俺達がエレベーターを降りたすぐ目の前に、課長の言う武器庫はあった。  数分待っていると、エレベーターから早川課長が出て来た。   「待たせたな。折角来たので一応説明をすると、このフロアには武器庫の他にも経理部や会議室が入っている。会議室は上にもあるけどな。ちなみに、此処の下が総務部と食堂だ。日本支部の三フロアと、一階を除いた他の階には、新人だけで絶対に行くなよ! 問答無用で、警備員に殺されるからな!」  殺すとか……笑えない冗談だ。 「三フロアだけなんだ……少ないよな?」  大蔵が俺に耳打ちをした。 「そんな事は無いぞ! 広い方だ。フロアの数や従業員の人数は、その国の人口で決まるからな。従って、日本支部は三フロアもあって、全国各地で二千人の従業員が働いている――ついでに、それを束ねるのがトップの部長だ」 「すみません……」  大蔵が恥ずかしそうに、下を向いた。 「いいんだよ。これから少しでも疑問に感じた事があれば、遠慮せずに質問して欲しい――知らないと危険な事が、これからは特に山ほどあるからな」  ここまで来て言うのもなんだが、日本で育った人間がこう何度も「危険」と言われると、まるで異国での争い事の様な気さえしてくる――俺みたいな訓練も受けていない平和ボケした人間に、会社は一体何を求めているのだろうか?  俺にとって、最大の謎だ。
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