一章 屈辱の先

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「このまま突っ立っていても……」途方にくれてそう思い直すのに、結構な時間が掛かった。    意を決して足を踏み出す――すると僅だか、霧が少し薄くなった気がした。  俺は更にそのまま真っ直ぐ、ゆっくりと足を進めた。何かにつまづいたり、何処かにぶつかる事も無く、十五から二十メートルは歩いただろうか? 霧は少しずつ晴れ、周りの状況が見えてくる――。 「えっ!?」  俺は元々居た受付の前に立っていた。   確かに歩いたはずなのだか、俺はその場から一歩も動いていなかったのだ。  しかし、完全に霧が晴れると、目の前に映る風景は一変していた。
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