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綺麗な星空を見ることはどうでもよくて、娘と一緒に日常からほんのちょっとだけトリップしたかっただけなのだろう。
自分にとって特別な人と日常から離れた特別な時間を共有することに意味があるのだと思う。目的はたぶん口実のようなものなのだ。
あどけない顔で眠っている娘を見ていると、ふと、もしかしたら今も夢の中にいるのではないだろうかという考えが過った。
いや、考えようによっては人生なんて夢とほとんど同じようなものだ。
一瞬一瞬があっという間に過ぎ去って行って、気が付いたときには子供から大人になって、また次にはっとした瞬間には腰が曲がったお婆ちゃんになっているに違いない。
次に目が覚めた時に私の目の前にいるのは大人になったこの子かもしれない。
次の駅への到着を告げるアナウンスが車内に流れ、私は娘をそっと起こした。
娘は眠そうな目を何度か瞬かせてから、着いたの?と尋ねた。
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