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 ぶぇっくしょい! と、女子にあるまじきくしゃみをすると、カメラを覗き込んでいた友人がこっちを見た。 「大丈夫?」 「じゃないわよ。ったく、このクソ寒いのに、よく写真なんか撮りに行こうとか思えるわよねっ」  必要以上に荒い語気で悪態をつくと、友人はくすりと笑った。わたしには真似できないような、可憐な微笑みだ。 「でも、なんだかんだ付き合ってくれるじゃない。あなたのそういうところ、好きよ」  ……こういうことをさらっと言ってくるので、わたしはいつも調子を狂わされてしまうのだ。  誤魔化すように鼻をすするふりをする。 「……はいはい。寒いからさ、帰りにおでん買っていこうよね」 「ウインナーが食べたいわ」 「わたしはやっぱ大根かなぁ」  おでんといったら、やっぱり大根よね。あとこんにゃくは外せない。  そんな話をしていたら、本格的にお腹が減ってきた。  友人はまだカメラに熱中している。  再び雪のちらつき始めた灰色の空を見上げ、わたしはそっと白い息を吐き出した。
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