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目が覚めると、俺は男の身体に戻っていた。俺は無事に戻ってきたのだ。自分の時層に。
そうして俺は、厳密にいえば一週間ぶりながらも、場所はまったく同じ高校へと通学する。今まで通りに本を読みながら。
すると、慣れた衝撃が俺の背中に走った。振り返ると、そこにはやっぱり早崎。
「おっはよ、飯島!」
その言葉だけで、涙が出そうになる。この時層でのことではないにしろ、俺は一度早崎に振られてしまっているのだ。一瞬だけ目を閉じ、なんとか「おはよう」と言葉を返す。
「なあ、飯島、今日の放課後空いてる?」
早崎は、あくまでいつもの早崎だった。
「空いてるよ」
「じゃあさ、肉まん食いに行こうぜ。今日、100円になってんだよ」
俺は頷く。このやりとりが、俺にとってどれほど重要な意味を持つか、早崎は知らない。
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