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この家は一軒家であるようなのに、妹とザムザの憑依している体の主である男子高校生との二人暮らしであるようだった。この前ツイッターで、キノの作者さんが、ラノベの主人公に親ポジのキャラは不要と発言していたから、そういうことなのだろう。妹キャラと会話ができたザムザのテンションはとても上がっていた。制服に着替え道を歩いていると、突然物陰から何かが飛び出してきた。
「わ~、遅刻遅刻~!」
そして、ザムザとパンを加えた少女は激突した。二人目の日本人だ。ザムザは、先ほどよりも少し難度の高いフレーズを検索した。ザムザは紳士らしい仕草を心がけながら、少女が口からこぼした食パンを拾って、手渡した。
「これは、ペンですか?」
疑問文である! イントネーションも完璧に発話できたはずだ。ザムザはドヤ顔で相手の反応を待った。
「えっ?」
どうやら通じたらしい。ザムザは気分がよくなって、もうひとつ、更に少しレベルの高そうな疑問文を探した。
「トムは毎週土曜日に、テニスをしますか?」
「あの……私、急いでるんで……」
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