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彼と彼女は話が噛み合わない。
3回目のデートで確信した。
彼女はいつもデートにカメラを持ってくる。
(・・・なんでいつもカメラ持ってるんだろ?)
彼女は冷たく肌を撫で、流れていく冬の風に頬を染め、白く冷たい息を吐きながら枯れ木ばかりを写真に収めていた。
(・・・どうして枯れた木ばっかり・・・)
彼の視線に気付こうともしない彼女は、彼とのデートだということも忘れているようで、何かを見ているようで何も見ていない灰色の瞳で先程撮ったばかりの写真を確認する。
「いい写真とれた?」
彼の質問に、彼女は瞳を下ろしたままマフラーから顔を上げ答えた。
「はい。今日は寒いからノーパンです」
「いっ・・・!!??」
パシャ。
「ごちそうさまです。おかげでいい写真が取れました」
唖然としてマヌケた顔になっている彼に、彼女は写真を見せた。
そこにあるのは顔を真っ赤に染め、焦りに焦りまくっている彼の顔。
「・・・ちょっと! 君が訳わかんないこというから・・・!」
「そうですね。私はアナタの彼女で信じられないくらい幸せです」
「~~~~~っ!!!」
彼と彼女は今日も噛み合わない。
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