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通信を開始するアラートが鳴った。私はいつものように音の鳴った方へ意識を向けた。いつもとは違う調子の意識が割って入った。
『あなた、私の言葉がわかるようになったのね』
「どういうこと? 私、ずっとあなたにお返事をしていたのに」
『なんてことなの、私たちの間には、とても長い時差があるのね』
「時差?」
『とても残念だわ。死ぬ前に、私、誰かとおしゃべりできることを夢みていたのに』
「死ぬ?」
『きっと、次にあなたからのお返事が届くころには、私、もう存在していないわ』
「存在?」
『私、ずっと前にとある惑星を出て、難破してしまった船の乗り組み員なの。ずっと宇宙を漂っていたけど、この船はもうしばらくしたら、大きな星に墜落してしまうわ』
「そうしたら、どうなるの」
『さようなら、さようなら……』
そこで通信は途絶えた。
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