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私はあの生命体から通信が入るときだけに意識を持っていたが、あまりにもその後通信が入らないので、徐々に一人で意識を保てるようになっていった。そうしてある日唐突に気付いたのだった。あの通信はもう二度と、この船には届かないのだと。
この船はどこへ向かい、いつ自分があの生命体のようになるのか、私にはよくわからなかった。
今私にできることがただ一つだけあった。
私は発信する。
『いま、なにしてる?』
『いま、なにしてる?』
『いま、なにしてる?』
返事はない。
それから私は続けた。
『私はあなたにお話をするわ。物語よ。舞台は宇宙を漂う古びた船で、主人公はその中で生まれた小さな小さな生き物なの……』
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