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「あのー、何ていうか、めちゃくちゃお世話になりました。あんなに美味しいご飯にお風呂に、ふかふかのベッドまで…」
「いいんですよ。私がやりたくてやっただけなんで。時間も遅かったし、あのままじゃ適当にカップ麺とかで済ましてシャワーだけ浴びて固いシングルベッドで寝たりしてたんでしょ?」
うっ…当たっている。確かに残業帰りにご飯を作る気力なんか無いし風呂なんてもっての他だ。だから昨日はとてもリラックスすることが出来た。お風呂に足を伸ばしてゆっくり浸かるのも久々だったし、風呂上がりに彼が用意したと言う晩御飯もイタリアンレストランのようでどれも絶品だった。その上寝間着もスマホの充電器も貸してくれて、寝るときにはまるでホテルのようなふかふかのベッドがある部屋まで用意してくれていた。
いや、ちょっと待ってちょっと待って。一旦落ち着こう。やっぱりおかしくない?何故僕は、知り合ったばかりの謎の青年にこうもお世話されているんだ?そしてこの台詞は何度目だ?
何故だか余りにもナチュラルに彼の言うことを聞いてしまう。怪しいとは思いつつも、時折見せる彼の笑顔が心から嬉しそうに見えて、何だかこっちまでほわほわした気持ちになってしまうのだ。そうしてどんどん流されてしまう。僕はこうも流されやすい人間だったのかと、またもや自分で自分が心配になった。
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