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「じゃあ、寝るよ」
瞬の上ずった声が、痛々しい。
やはりまだ、行為そのものを楽しむほどまでには慣れてはいないのだ。
そんな瞬の肩を、恭介は抱き寄せた。
「優しく、してね」
「安心しろ」
キスをして、手を繋いだ。
そして今度は、瞼にキスをした。
「さぁ、眼を閉じて寝ろ」
え、と瞬は瞼を閉じるどころか、円い眼をしている。
「で、でも」
「大丈夫。眠れなかったら、その時はちゃんと抱いてやっからよ」
無理にセックスしなくても、俺は傍にちゃんと居るから。
恭介は、瞬の耳を自分の胸にあてた。
「ほら、こうして俺の心臓の音でも聴いてな」
とくん、とくん、と穏やかな心音が、瞬の胸に染み入った。
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