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「かはっ! けほ げほ 」
肺が痛くなるほど息を吸い込んだ。やっと空気を吸い込むことに成功すると急に体から力の糸が切れ、クタッと体が動かなくなる。
意識も朦朧としていき、私はぼやけた視界の中、最後に映ったのは黒いウサギの耳だった。
夢を見たその夢は、なんとも不思議な夢で頭にウサギの耳をつけた男の子が何もない白い世界でポツンと座っていた。
その男の子の頭の上の耳はピクピクと動いていて私は、無意識に男の子へと近づいていく。
男の子は私の気配に気づくと警戒したように体を丸め私を睨みつけた。
「大丈夫だよ 怖くない」
なんとなくかけた言葉と、伸ばした手のひらはそっと男の子に向けられていた。
寒そうに震えてる男の子はさっきまで涙を流していたのか涙の跡が頬に残っていた。
私は、様子を伺うようにして頭を撫でると、肩の力を抜いた男の子に自分の巻いていたマフラーを巻くと男の子は、少しホッとしたような表情をするとマフラーを握りしめていた。
なぜ泣いていたのかと聞く代わりに私はその不思議な男の子の隣に腰をかけた。
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