迷い込んだのはウサギの国。

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私は、なんと答えたら良いのかわからず、何か答えないとと焦りながら、か細い声でいう。 「べ 勉強したからです」 どうやって言葉を覚えたかなんてわからない、いつのまにか喋れるようになってたし、こう答えるしかないと私は震えながら目の前にしゃがみ込む人物の様子を伺う。 「へー 勉強? 人間って教えれば覚えるんだ初めて知った 服も着てるし こいつ愛玩用のペットか?」 今ひとつ理解ができなかった、ペットとは、自分の事なのだろうか、独り言を呟くその人物に疑問を感じた。 まだ彼からは殺そうとする気配は見とれず、私は血だらけの服と頭の上についた耳を見つめた。 前に立つその人物は、男性のようでミルクティー色の髪の色と茶色のウサギ耳が生えていた。服は血で汚れていて真っ赤に染まっていた。 「あ、 思い出した そーだそーだ この子 ヨーク様が持って帰って来た子だ!やっと思い出した!」 ニンマリと笑った彼は私に視線を向けると次に恐ろしい事を言い出す。 「せっかくヨーク様が直々に食べ物を狩って来たのにこんな汚いところに入れてたらヨーク様が食べれなくなっちゃうじゃん」 食べる?彼はそう言ったのか、それは先ほどの光景を連想するに人間を“食べる”という意味か、もしそれが事実のするならば私は今からでも“調理”されるのではないのか、 「じゃあさ でも喋る人間か、勿体無いな~そうだ!この人間を愛玩用のお披露目に出してから調理しよう!!うん!そうしよう!」 満面の笑みを浮かべる彼は本当に無邪気で私は“捕食者”を目の前にし叫びの言葉を喉に詰まらせていた。
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