水の底

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A「やっときた」 B「ごめん、遅くなった」 A「別にいいけど」 B「これからどうする?」 A「特に考えてない、そっちは?」 B「俺は、親が東京に住むからそっちにいくな、お前はどうする?」 A「何も考えてない、考えつかないかな、、」 B「そっか」 A「・・・上手く撮れたらアメリカ行こうと思う」 B「・・・アメリカか、、遠いな」 A「おばさんがいるからそこで写真勉強しようって思う」 B「そっか、上手く撮れるといいな」 A「ありがと、そっちは東京で何するの」 B「わかんない、何がやりたいとか、何ができるとか」 A「そう」 B「でも、なんか見つけるよ」 A「なんかってなに?」 B「さあね」 A「よくわかんない」 B「そろそろ時間だな」 A「ねえ、水の底ってどんな景色かな」 B「きっと、薄暗い中に丸い小さな光が差し込んで、意外と明るいじゃないか」 A「そうなの?」 B「それで、紅葉の季節はオレンジ色になって、冬は氷の花を咲かせて春には解けて緑色に輝く」 A「ふふ、いいね」 B「夏になったら大切な飲み水になって大人になる時はもう気にしないと思う」 A「それ、景色じゃなくて、思いだよ」 B「そろそろだな、」 A「放水始まったね」 B「ああ、こんな思いも最初で最後だな」 A「さよなら、私の故郷」 B「さよなら」
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