557人が本棚に入れています
本棚に追加
「だいたい直感でわかるんだよなぁ、何故か。……それとあの人のかけてるメガネ、男モノなんだよな」
「呼んだ?」
奥の厨房から観月さんがタブレット端末を持って現れる。噂をすれば影とやらだ。俺は慌てて手を振って否定した。
「いや、何でも」
祐介は何事もなかったように涼しい顔でコーヒーを啜り、「お邪魔してます」と律儀に頭を下げた。
こいつはたまに関心するくらいポーカーフェイスが上手い。
「そう? まあいいや、10月中旬になったことだし今月は新しい食材追加したわよ」
観月さんがにんまりと笑ってタブレットの表面を俺に見せる。タブレットには今日のメニューが載っていた。
「リンゴ。もうそんな季節ですか」
俺が画面を確認して言うと、観月さんは得意げに黒縁メガネを押し上げた。確かに、そのメガネのサイズは大きい。男モノだと考えれば確かに妥当だ。
「そう、美味しいわよねリンゴ。今度色々調理の仕方教えるから、一緒にやりましょ」
そうこうしているうちに、いつものようにカランコロンとドアベルが鳴る。
「あの、こんにちは」
時刻は16時。ココネさんだった。
最初のコメントを投稿しよう!