カモミールとリンゴ

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「だいたい直感でわかるんだよなぁ、何故か。……それとあの人のかけてるメガネ、男モノなんだよな」 「呼んだ?」  奥の厨房から観月さんがタブレット端末を持って現れる。噂をすれば影とやらだ。俺は慌てて手を振って否定した。 「いや、何でも」  祐介は何事もなかったように涼しい顔でコーヒーを啜り、「お邪魔してます」と律儀に頭を下げた。  こいつはたまに関心するくらいポーカーフェイスが上手い。 「そう? まあいいや、10月中旬になったことだし今月は新しい食材追加したわよ」  観月さんがにんまりと笑ってタブレットの表面を俺に見せる。タブレットには今日のメニューが載っていた。 「リンゴ。もうそんな季節ですか」  俺が画面を確認して言うと、観月さんは得意げに黒縁メガネを押し上げた。確かに、そのメガネのサイズは大きい。男モノだと考えれば確かに妥当だ。 「そう、美味しいわよねリンゴ。今度色々調理の仕方教えるから、一緒にやりましょ」  そうこうしているうちに、いつものようにカランコロンとドアベルが鳴る。 「あの、こんにちは」  時刻は16時。ココネさんだった。
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