カモミールとリンゴ

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「……で、ご用件は」 「私のカメラマンになってほしいんです」  敬語になって頭を下げる日高先輩の言うセリフの意味をくみ取りかねて、俺は思わず「……はい?」とまた言ってしまった。 「昨日あなたが撮ってくれた写真がすっごく素敵で」 「……ミスコンって確かカメラマンいませんでしたっけ」  別に俺でなくても。そう言うと彼女はふっと真顔になり、困ったように眉を下げた。でもそれは一瞬で、次の瞬間には彼女の笑顔はまた完璧なものに戻る。 「確かにいるけど、それは公式写真とかだけ。プライベートなものとかは自分で撮るしかないのよ」  だからぜひあなたに頼みたいの。突然で申し訳ないけれど――。そう言って彼女は頭を下げる。 「……分かりました。でも一つ条件、いいですか」  俺が折れると、彼女はほっとしたように「ごめんなさい、ありがとう」と呟いた。
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