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「そんなことまでやるんですか」
「候補者みんなやってるから。それこそ毎日」
げ、と思わず声が出てしまう。だってただでさえ先輩のSNSのフォロワー数は2万5千人だ。しかもそれは日々増え続けている。それを母数にしてコメントを送ってくる人数を想像するだけでも頭がくらくらしてくる。
「どれくらいかかるんですかそれ一日に」
「3時間くらい」
こともなげに言われて俺は絶句した。3時間。大学の講義2コマ分だ。SNSの見知らぬ匿名の相手にそんなに時間を費やすなんて。
「なにびっくりしてるの、当たり前よこれ」
評判って大事だからね、とまたさらりと言って彼女は物凄い速度でキーボードをたたき出す。その鬼気迫る様子に俺は黙って更衣室へと向かった。今日は17時くらいまでは真波先輩の手伝い、それ以降はバイトというスケジュールにしていた。
俺がカウンターに今度はカフェ店員の恰好で戻ってきたときも、彼女は一心不乱にパソコンに向かって文字を打ち込み続けていた。
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