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「ねえ、石蕗くん」
真波先輩のカメラマンを初めて2週間。月は11月に入り、いよいよ学園祭まであと数週間を切ったころ。俺は突然、講義後に呼び止められてカバンにテキストを入れる手を止めた。
「……なにか?」
呼び止めてきた相手は茶髪をおしゃれにセットした、対して話したこともない同じクラスの奴だった。話したことがないが社交的である様子は傍から見ていてまあ認識している、そのくらいの間柄。
近くで見てみるとこいつのクラッチバッグにはいったい何が入ってるんだろう、と余計なお世話だろうが俺は不思議に思う。財布と携帯と定期入れを入れた時点でテキストやらノートなんて入りそうもないし不便だな、と勝手に考察したところでまたクラッチバッグの男が口を開いた。
「ミスコンの日高真波さんと知り合いなんだって?」
「……知り合いというかまあ」
大した用じゃないのならさっさと会話を終わらせよう、そう思っていたところに茶髪クラッチバッグ男子はスマホ画面をスクロールしながら話を続けた。
「結構仲良さげだって聞いたけど」
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