カモミールとリンゴ

30/50
前へ
/270ページ
次へ
「そうしたら今度は彼氏がいるのにインタビューで嘘ついて「いない」って言ってる、って噂も流れて今いもしない彼氏の特定に躍起になってる奴らがいるらしい」  俺たち掲示板の一部ではどっちかが彼氏なんじゃないかって騒がれてるらしいぜ、と祐介が肩を揺らして笑った。 「アホくさいだろ」 「……つか、どうでもいいな」 「お前ならそう言うと思ってた」  祐介が俺の背中をバシンと叩く。だから後ろからどつくのやめろ、と俺はいつものように奴を睨んだ。  少し巻き込まれただけの俺たちでもこれだ。渦中の先輩の状況を想像しようとするだけでも気が滅入る。  ハーブティーを口にした時のあのあどけなさが垣間見えた先輩の顔を思い出しながら、少しは労ってやろうという気持ちが芽生えた。いつも振り回されてばかりで癪だけど。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

557人が本棚に入れています
本棚に追加