557人が本棚に入れています
本棚に追加
「変わってますかやっぱり、男で花言葉とか植物に詳しいって」
昔は色々言ってくる奴もいましたけど、と俺は肩をすくめる。
「ケチつけたい病の人っているんですよ。自分の人生には関係ないんだからほっとけばいいのに、やたら批判してくる人。ただ粗探しをして、叩いて喜ぶ人が」
そうね、と先輩がカモミールティーの水面を見つめながら呟く。
「でもそんな人たちは俺たちに何かをしてくれるわけでもない。それよりも、自分の側にいてくれて自分の生き方に付き合ってくれる人、そんな人がいるんじゃないですか?思い出してみてください」
「――先輩のそばには優美さんとか、ちゃんといるじゃないですか」
それまで黙っていた祐介が口を開いた。俺と先輩が見つめると、何事もなかったかのように奴はまたコーヒーを啜り始める。
「……そうね、ちゃんといるわ……」
「それに、……俺たちも味方になります」
ハーブティーに差し湯をしながら俺がぼそりと言うと、先輩は意外な言葉を聞いたと言わんばかりに目を丸くした。
「大変な時、そういう人がいるってだけで救われると思うんです。俺はそれでここまで自分の好きなものを曲げないでこれた」
何となく気恥ずかしくて、先輩の顔が直視できない。慣れない喋りをするものだから、もう喉がカラカラだ。俺は水をぐいっと飲んでため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!