カモミールとリンゴ

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「変わってますかやっぱり、男で花言葉とか植物に詳しいって」  昔は色々言ってくる奴もいましたけど、と俺は肩をすくめる。 「ケチつけたい病の人っているんですよ。自分の人生には関係ないんだからほっとけばいいのに、やたら批判してくる人。ただ粗探しをして、叩いて喜ぶ人が」  そうね、と先輩がカモミールティーの水面を見つめながら呟く。 「でもそんな人たちは俺たちに何かをしてくれるわけでもない。それよりも、自分の側にいてくれて自分の生き方に付き合ってくれる人、そんな人がいるんじゃないですか?思い出してみてください」 「――先輩のそばには優美さんとか、ちゃんといるじゃないですか」  それまで黙っていた祐介が口を開いた。俺と先輩が見つめると、何事もなかったかのように奴はまたコーヒーを啜り始める。 「……そうね、ちゃんといるわ……」 「それに、……俺たちも味方になります」  ハーブティーに差し湯をしながら俺がぼそりと言うと、先輩は意外な言葉を聞いたと言わんばかりに目を丸くした。 「大変な時、そういう人がいるってだけで救われると思うんです。俺はそれでここまで自分の好きなものを曲げないでこれた」  何となく気恥ずかしくて、先輩の顔が直視できない。慣れない喋りをするものだから、もう喉がカラカラだ。俺は水をぐいっと飲んでため息をついた。
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