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ホットココアさんが、マシュマロを投入したばかりのココアをじっと眺め、しばらくしてからそれをゆっくり口元へ運ぶ。
そしてお、というように目を丸くしてから少しだけ彼女は口角を柔らかく上げた。どうやらお気に召したらしい。
――笑った。
いつもはほぼ表情を変えず淡々としている美少女の笑顔を垣間見て、俺はほっと息を吐き、流しで洗った機材の水を切った。
「顔、緩んでんぞ」
前から唐突に振ってきた聞きなれた声に俺はぱっと顔を上げる。祐介がにやにやと俺とホットココアさんを交互に眺め、声を潜めた。
「あれが例のえっと……ココアさんか」
「お前いつの間に来てたの」
祐介の質問を無視して俺はわざとぶっきらぼうに聞く。
「ついさっき」
馨くんの友達なんだって? と観月さんが隣に立ちながら俺と祐介を興味津々といった感じで見比べた。
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