557人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「そしたら、すごい話してくれるじゃないですか。すぐにあんな話出てくるなんて、感動しました。お花詳しいんですか?」
ほらよかったな、と祐介がこのこのと言いたげに俺を肘でつつく。俺がじろりと睨み返すとすまんと拝まれた。どうやら勝手に話をあんな形で丸投げした罪悪感はあるらしい。
「詳しいというかこいつはもうオタク。花言葉とか花に関する話とかになるともう止まんない癖があんの。さっきの話も続きがあるんだろ?」
前言撤回だ。どうやら全く反省していない。人が秘密にしてたことをベラベラ喋りやがって、と俺は恨みがましく祐介を見た。
「続き?」
なになに、と観月さんも体を乗り出す。3人の視線を一手に引き受けて、俺は口を渋々開いた。
「ホトトギスには『私は永遠にあなたのもの』とか『秘めた意志』っていう花言葉があるんです」
「へええ、あの見た目の花にねえ……どうして?」
「ホトトギスは咲いている期間が長い。晩夏から晩秋までの長い期間、ホトトギスがひたむきに咲き続けることにちなんでその花言葉になったんです」
最初のコメントを投稿しよう!