ホットココアさんとホトトギス

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「全然知らなかったわ、そんな癖。なんで秘密にしてたの?」  観月さんが眼鏡を押し上げながら聞く。 「こいつ、高校の時地雷何度か踏み抜いたらしくて。そっからあんまり話さなくなったんすよ」  俺が答えるよりも早く、またも祐介が答える。俺はもはやこれまでと観念して匙を投げた。 「俺が初めて聞いたのは『結実率1%』とあとカカオの花言葉だったかな」 「おいちょっと待て?」  匙を投げて数秒後にとんでもない爆弾が落ちてきた。俺は慌てて止めようとするが、時すでに遅し。祐介はにやにやと話を続けた。 「高校1年の時、2月14日に廊下で女子に『カカオって結実率1%なんだよね』って言ってる奴がいたんです。バレンタインデーですよ、チョコレート渡す日。しかも女子からチョコ渡された直後にです」 「結実率……実を結ぶ率ってこと? ……あれま」  意味に気づいたらしい観月さんとホットココアさんが視線を交わして苦笑する。もう早くこの話は終わらせてくれと俺は願いを込めてコーヒーを飲んだ。
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