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「ちなみに、ひなげしの花言葉はなんて言うんですか?」
横から涼やかな声が飛んでくる。頭を巡らせると、声の主であるココネさんがソファー席の向こう側からひょっこり頭をのぞかせていた。
「花言葉がぴったりかもしれないじゃないですか」
水晶玉みたいに綺麗な目が俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。今度は俺が参ったなと呟く番だった。
「……どっちにしろひなげしは見舞い花にオススメしません。ひなげしの花言葉は『別れの悲しみ』です。『休息』とか『心の平穏』という意味もありますが」
ココネさんがしまった、という顔をした。俺も多分同じ表情をしている。困った顔が3人に増えてしまった。
「……俺、一緒に考えます」
余計なことを言ってしまったという罪悪感を噛み締めながら、俺は頭を下げた。店員に不快な思いをさせられた、というクレームが入ってしまってもおかしくない。冷静になってから俺はそのことに遅ればせながら気づいた。
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