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「クローバーって、どこで見つけられますか……?」
「すぐ近くに川ありますよね、あの土手に確か生えてましたから探しに行けますよ」
俺がそう言うと、お爺さんは颯爽と立ち上がった。
「よし、探しに行ってくる」
「え、今からですか!?」
目を丸くする俺たちの前で、ココネさんも立ち上がる。
「私もお手伝いさせてください」
いいのかい、と驚いたのちお爺さんは照れくさそうに「ありがとう」とはにかんだ。それに対してココネさんも微笑む。なんだかここだけマイナスイオンが出ている、そんな和んだ空気が流れた。
とか思ってる場合じゃない。どう考えてもお爺さんと女子高生だけで川の土手に行かせるのはマズイ。なんだかんだ水回りだし、安全上、誰かもう一人はほしいところだ。
「行ってきなさいな、馨くん」
俺が言葉を発するより先に、観月さんがにっと笑って俺の背中を叩き、いつものように親指を立てる。
「……でも、観月さん体調は」
「だいじょーぶだいじょーぶ。うちのモットーはお客さんの居場所と幸せよ。きっちりやってきなさい」
そうは言うものの、観月さんの顔色がさっきよりも白くなっている気がする。
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