パンとクローバー

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 葉を探しながら、数分経った頃。 「馨さんどうしてさっき、四つ葉のクローバーって言われた時迷ってたんですか?」  ココネさんが葉を探しながら聞いてきた。今日の彼女は、よくしゃべる。 「そんな顔してた? 俺」 「どうしよう、みたいな顔してました」  ぼんやりしているようでよく見ている。彼女の観察眼に俺は少し驚いた。普段ぼんやりとしているように見えて、割とよく気がつくタイプなのかもしれない。 「まあ、病院は生花NGかもってことをすっかり忘れてたからやっちまったなって思ったのと、あと……シロツメクサの花言葉ってさ、葉の枚数ごとに違ってて。もし四つ葉が見つからなかったらどうしよう、って」  ココネさんに真剣な顔で見つめられ、お爺さんに聞こえないようにひそひそ声で俺は呟いた。 「どう違うんですか?」  彼女はまた、B5のノートを取り出す。 「いいよそんな俺の言葉なんていちいちメモしなくて」 「私にとっては大切なことですから」  ココネさんは有無を言わさないきっぱりとした口調で言った。見かけに反して凛とした声で。
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