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「私の目、色変なんです。光の加減で緑色に見える時があるみたいで」
「変じゃないだろ」
咄嗟に出た言葉に、ココネさんがぱっと顔を上げた。
言ってしまってから次の言葉に俺は詰まった。こういう時、祐介ならさらっと女の子が喜べる言葉が言えるんだろう。たまにこういう時、本当にごくたまにだけれど、あいつの思考回路を自分の頭に召喚したくなる。
「綺麗だと思うよ、クローバーの色だ」
だめだ、スベった。
何か言わなければと咄嗟に出てきたのが手元にあるクローバーなんて。もっといい例えがあるだろ俺ぇ!と心の中で自分を罵る。
何も言わなかった体にしようとクローバー探しを再開した俺の横で、ココネさんが吹き出した。
「完全に今、思いつきで言いましたよね」
「………」
黙り込んでいると、ココネさんはくすくすと笑いながら同じようにクローバー探しを再開した。
「でもそっかぁ、クローバーの色。ふふ」
「恥ずかしいからもうやめろ、それ」
そこまでノートに書かなくていいからなと釘を刺すと、彼女は笑いながら「はいはい」と言った。
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