パンとクローバー

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「これ、四つ葉ですよね」  ココネさんが指さす先をたどると、そこには確かに三つ葉の群れに交じって四つ葉のクローバーが一つだけ揺れていた。  俺とお爺さんは顔を見合わせる。 「……お嬢ちゃん、やるなあ」  お爺さんが放心したように呟く。俺も全く同じ気持ちだ。  こんなすぐに見つかるとは、予想外だった。俺は確かにコツがあるとは言ったけれど、それは――。 「なんかこの辺にありそうかなーって、直感で見たらありました」  そう言いながら、彼女がそっと四つ葉を根元から丁寧に摘んだ。そして俺の方を見上げて意味ありげににやりと笑った。 「私の目が、クローバーだからかも」  ふふ、と笑われて俺は小さくココネさんの肩をそっと小突いた。 「だからやめろってもう、恥ずかしいから俺が」 「目がクローバー?」 「さっきですね」 「だからやめろって、やめてください」  頭の上にはてなマークが飛び交っているお爺さんに詳細を説明しようとする彼女を静止しながら、川土手を登る。そして顔を上げると、見知った顔が上から手を振っていることに気づいた。
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