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「観月さん、体調は」
「もー大丈夫、迎えにきましたよ皆さーん」
ひらひらと手を振りながら、黒縁メガネのポニーテール美女が俺たちを出迎えた。
「見つかったみたいで、よかったわ」
観月さんがココネさんにウインクする。そしてお爺さんに向かってにっこりと微笑んだ。
「お疲れ様でした。カフェ・メープルに特別メニューをご用意しましたので、ぜひゆっくり休んでください。そんでもって馨くん?」
「はい?」
最後に飛んできた言葉は俺宛だ。何を言われるのだろうとどぎまぎしていると、彼女は「お疲れ様」と言ってにやりと笑う。
「押し花とラミネート、うちのもの使ってしおり作っちゃうわね」
「了解です、ありがとうございます」
この展開を見通していたのかというくらい、準備がいい。観月さんの不思議はますます深まるばかりだ。彼女の背中を追いかけながら、俺はかなわないやと心の中で呟いた。
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