557人が本棚に入れています
本棚に追加
*******
「馨さんにまだ聞いてなかった。どうして三つ葉のクローバーには「復讐」って花言葉があるんですか?」
お爺さんが帰ってから、俺はカフェ店員としての動きを再開した。祐介が呼び込んで来た女性客の相手をしている合間に、水を注ぎにきた俺にココネさんが尋ねてくる。
「ああ、それは……」
「馨! 申し訳ないけど、オーダー頼めるか?」
祐介の客引き(本人は自覚ないらしいが)で店内はいつもより人が多い。祐介が申し訳なさそうにカウンターの向こうで手を合わせた。
「ごめん、また後ででいい?」
そう言いながら時計を見ると、もう18時半近くだった。
ココネさんがいつも帰る時間だ。
「……いえ、大丈夫です。お仕事中にすみません無理言って」
そろそろ帰らないと、とココネさんが立ち上がる。
「無理じゃない。今度また絶対教えるから」
俺の言葉にココネさんが伏せていた目を上げた。
「そう。そう……ですね」
最初のコメントを投稿しよう!