パンとクローバー

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「けーいっ」  カフェ・メープルに向かう道の途中、またも後ろからどつかれて俺は顔をしかめて振り向いた。後ろからどついてくるやつは奴しかいない。 「今からバイトか?」 「そうだけど」 「俺もいく」  祐介が肩に手を回しながら言うセリフに、俺はその手を退けながら問い返した。 「え、何バイト?」 「まさか。いまやってるバイトだけで手一杯ですよ俺は。この前は特別ピンチヒッター。今日は客としてだよ客として」 「……お前いま何やってんだっけ」 「予備校のチューターと新聞社」  それは忙しそうだ。こいつはいったいどうスケジュールをやりくりしてるんだと感心しかけて、俺は思い出した。 「ああ、だから高校の制服」 「ココネちゃんのホトトギス事件の時? そう、分かっちゃうんだよねバイト柄でどこの高校の制服か」  あの時は気味悪いって言われてだいぶショックだったけどなと祐介が苦笑する。
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