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「いえいえ、俺は何も」
実際提案したのは祐介だし、見つけたのはココネさんだ。俺がそう言うと、お婆さんはふふふと笑った。
「何もしてないなんてことあるもんですか。クローバーの花言葉、葉っぱについてる言葉も全部教えてもらいましたわ。もうそれがすっごくすっごく嬉しくて。ふふ」
「おい、もうええやろ」
言葉を遮ったお爺さんの頬が心なしか赤い。そして動揺したのか、お婆さんにつられたように関西弁になっている。俺はそれで察した。
きっと、あの言葉を言ったのだろう。四つ葉が4枚揃った時の意味を。
「ふふ。そうやね、ずっと心に大事に持っときます」
お婆さんが思い出し笑いをする横を見て、俺ははっとした。
横で話をじっと聞いていたココネさんの目から一筋、涙が流れていた。
「よかった……ほんとによかった、です」
「あらあら、優しいお嬢さんやねえ」
お婆さんがココネさんの頭を優しくなでる。「ありがとうね」としみじみと言われて、彼女は涙の跡を拭きながらこくりと頷いた。
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