カモミールとリンゴ

1/50
557人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ

カモミールとリンゴ

「あれ、スマホめっちゃ熱くなってきた」  祐介がいつものカフェ・メープルのカウンター席、俺がサイフォンでコーヒーを淹れている前でぼやく。目の前でスマホの画面をひたすらスクロールしている奴に、俺はわざと呆れた目を向けた。 「スマホ使いすぎだろ。熱くなった時ってスマホに負荷かかった時って言うよな」 「あー、そうそう。それでこの前データ吹っ飛んだ」  どうやら実害が出ていたらしい。そんでお前どうしたの、と聞くと祐介はぱっと顔を上げて目を輝かせた。 「それがさ、凄えんだよ観月さん!」 「は?」  なんでここで突然店長の名前が。脈絡が全く分からず、俺は素っ頓狂な声を出してしまった。 「スマホバグっちゃってさ、それ愚痴ってたら観月さんがちょちょって直して返してくれた」 凄えよあの人機械強いんだな、そう言う祐介に俺は確かに、と思い出した。 カフェ・メープルのメニューの決め方についてだ。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!