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B「…こんな寒い中外に出てまで写真なんて。風邪引くだろ。もう帰ろうぜ。」
A「まだ課題用の風景写真が一枚も撮れていないのだけれど。」
B「何時間ここにいたつもりなんだ。」
A「納得するものが撮れないのよ。」
B「…全く。お前は凝り性だなぁ。何から何までちまちまちまちま。期限が守れなくちゃ意味ないんだぞ?おまけに負けず嫌いで自分を殺すような努力家だから、いつも無理してその努力が駄目になる。一体いつ気が付くんだ?お前自身の、本物の心理に。」
A「気付く必要なんかない。」
B「…」
A「それが私の本性。私は今も昔も本能に従って生きているの。負けたくない。強くありたい。だから私は自分の中の最高を求めてそれを手に入れられるように、死ぬほどの努力を重ねてるんだ。それって生きることと変わらないじゃない。私はいつも必死に生きているだけよ。」
B「その性格はいつか自分を殺してしまう。」
A「舐めないで。こんなにも長いこと幼馴染やってるのに私が自業自得で死ぬとでも思っているの?」
B「…まぁ…好きにしたらいいと思うが。お前は俺の気持ちを一ミリも理解しようとしないんだね。」
A「…生憎だけど私は人の心なんて読めないわ。」
B「俺の気持ちとか考えたことあんの?」
A「…」
B「…」
A「…いえ…」
B「…俺は写真を撮るお前の姿が好きだ。」
A「!」
B「その整った横顔も澄み切った黒目も、それに似合うその丸眼鏡も。カメラ越しに映るお前の世界が俺をいつも楽しませてくれた。写真部部長にぴったりの腕前だ。あと、俺より小さいのに態度は人一倍大きいところも腹立つけれど面白いからな。」
A「…何が言いたいの?」
B「誰も見たことのない世界を見に行こう。」
A「…」
B「もし月の裏側へ行けると言ったらどうする?お前は俺についてくる?全人類誰も見たことがない景色を、一枚映してみたいと思わないか。」
A「そんなこと出来るわけないでしょ。」
B「残念。出来るんだよなぁ。」
A「…う、そ…」
B「俺がお前に嘘吐いたことあったか?」
A「でも」
B「どうする?見たいと思わないのか?撮りたいと思わないのか?今は無料キャンペーン中だ。一生に一度の宇宙旅行だぞ。」
A「っ…」
B「…手を、重ねろ。お前が手を伸ばせばすぐに連れて行ってやる。」
A「…」
B「……嫌か?」
A「……いや…分かった。行く。」
B「…3秒、目を瞑れ。」
A「………」
B「………」
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