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緑に囲まれた緩やかな丘の上に、エリアで唯一の学校がある。真新しい校舎は、中庭を囲んでコの字に建ち、一番目立つ中央の壁にはアナログ時計が飾られている。その校舎から見える整備された土のグラウンドでは、青いジャージ姿の生徒達が円く囲んで集まっていた。中央に立っているのは、同じくジャージ姿の二人の少年と、黒いタンクトップを着た教師だった。
少年の一人は長身で、シルエットが細い。ふんわりと膨らんだマッシュヘアだが幼い印象は無く、体型と身のこなしから爽やかに映る。
「テンプレート――童子切」
彼は目を閉じた。両手を軽く握り、体の前で腕を伸ばす。
「コンパイル」
周囲に浮かび上がった青い光が、一斉に彼の手の中に集まる。光の線は刀の形にフレームを構成する。放っていた光は光沢にへと変わり、日本刀の外観が作り上げられた。
少年は柄を握り、中段に構えた。剣先はぴたりと定まっており、構えだけでも技量がうかがえる。
対峙するもう一人は、日に焼けた健康的な外見の少年だった。色素の薄い黒髪は、太陽の下だと茶髪にも見える。腕まくりされた袖から、引き締まった筋肉が覗く。
彼は拳を握ると、右足を引いて半身に構えた。戦いの準備は、それで終わりだった。
「浅賀、武器はいいのか?」
彼らの間に立っていた男の教師が尋ねた。手には成績をメモするためのクリップボードを持っている。
「そいつ、作らないんじゃなくて、作れないんですよ」
周りで見ていた少年が代わりに答えた。子供達の間から笑い声が上がった。
「そうか。卒業までには覚えるようにな」
「努力します」
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