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真広は息を切らしながらも、立ち上がった。ジャージは砂にまみれている。
「分かったよ。お前にこれ以上使わせる訳にもいかないしな」
日本刀を空に向けて突き上げる。真広の周囲、砂上に青い円が浮かび上がる。
「陣太刀、インタプリタ!」
再び噴き上がる青い光が、刀に向かって収束する。激しい渦を描いて刃を覆う。固唾を呑んで見守っていた少年達が、思わず目を閉じる。
日本刀の切先に生み出されたのは、巨大な矢じりだった。刀に接しておらず、宙に浮いた刃面は青い光を放っている。
中学二年生の学習指導要領の枠を超えている。生徒と教師の口から感嘆の声が上がった。
矢じりが日本刀を軸にして旋回する。徐々に速度を増し、風を巻き起こす。ちりちりと青い光が零れ落ちる。
純は物怖じしない。再び激しい踏み込みと共に、拳を突き出しながら距離を詰める。
真広は背丈ほどある青い刃を袈裟に振り下ろした。回転する矢じりが、純の拳を削り、抉り、弾く。
柄を握る手首を返し、引き上げる。矢じりの回転が止まり、刃の向きが揃っていた。振り上げられた巨大な日本刀は、頭部を守っていた純の左腕を斬り飛ばした。日に焼けた前腕が、校庭の真ん中にぼとりと落ちた。
真広は矢じりの切っ先を、純の喉元に突き付けた。
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