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「し、勝負あり!」
教師が思い出したように、二人の間に割って入った。興奮して続けざまに真広に話しかける。
「いや、驚いた。インタプリタまで使いこなすとは。今年の対抗戦の代表は、一人決まったな」
「いえ」
真広は反応に困り、日本刀を下ろして俯いた。矢じりの光があせ、消滅する。日本刀も金属の光沢を失い、青い光に戻って四散した。
その時、校舎の方角から、チャイムが鳴り始めた。
「体育の時間は終わりだ。ちゃっちゃと着替えて、次の授業に行け」
教師が手を叩き、周りの生徒に話しかける。
「真広の圧勝――、思った通りの結果だったな」
見学していた生徒が回れ右をしながら、隣に話しかけた。彼もまた、初めてインタプリタを目にして上気した様子だった。
「あぁ。でも、純にも武器があれば、結果は分からなかったかもな」
屈んで腕を拾っている男を横目に見ながら、彼は呟いた。
*
「やっぱりヒロは強いな」
生徒と教師がいなくなった校庭で、純が笑いながら真広に話しかけた。
真広は無言で近づくと、残っている方の右腕を雑に掴んだ。日に焼けた肌ではノイズがちらついていた。
「お前、また無茶を……」
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