猫がオオカミ

01

　自然すぎるのが不自然な会話の流れだ。
　オレはどうして、昨日会ったばかりのガキと出来立てカップルのような会話をしているんだ？
　危うく流される所だったぞ。

「その前に、何か言うことがあるだろ」
「はい？」
「まずは、自己紹介とオレの部屋の前に居座っていた訳を言え。そんでもって、人の部屋を勝手に 片付けて溜まっていた洗濯までして、一体何が目的だ。冷蔵庫に買い足しておいてくれるのはいいが、余計なものまで買い込んで料金分捕る気なら、はっきり言って迷惑だから持って帰ってくれ。それに、カレーが万人受けするのというのは全くの偏見だ。オレの知り合いにカレーライスを全く受け付け ない奴がいる。ただし、そいつはカレーパンなら食べられるから･･･まぁ、カレーが万人受けするって 言うのは合っている、のか？　でも、お前が今から作ろうとしているのは完全にカレーライスだろ。だから、やっぱり万人受けするとは言い切れない！」

　途中から、自分が何を言っているのか分からなくなってきた。
　どうしてカレーについてこんなに熱く語っているんだろう。
　ちなみにオレ自身、カレーライスは大好きだ。
　だからどうしたって事でもないが。