289人が本棚に入れています
本棚に追加
思わぬ収穫を得て考え込んでいると、視線を感じた。
「でも、何でいきなりそんな話聞きたがるんだよ」
ウララさんが訝るのも無理はない。
でも、ここで正直にシノブの事を話したら、絶対に笑われる。
言いたくねぇ。
「んー、何となく?」
「それって、この前のガキに関係してる?」
誤魔化してみたけど、全く通用していない。
なんて勘の鋭い人なんだ。
「そのガキが、前の住人を探しているのか?」
「ウララさんって、人の心が読めるんですか!?」
「わざわざ読まなくたって、バレバレだっつーの」
ニヤリと笑うウララさんの表情は、全く予想していたものだった。
ウララさんだって、考えていることバレバレですよ。
絶対に楽しんでいる。
「幼馴染みらしいです」
観念して、シノブから聞いた事をウララさんにも教えることにした。
「それを調べてやって、恩を売ろうってか?」
「そんなつもりじゃないです」
と否定しても説得力はない。
悪く言えばその通りだから。
本気かどうか分からないが、シノブはまた来ると言った。
その時に、少しでもユキちゃんの情報を仕入れておいてやれば、あいつは喜ぶんじゃないかって浅ましい考えだ。
んでもって、それを餌にして懐かせようという魂胆もある程度ある。
懐かれたら困るクセに、それを望んでいる自分がいる。
自分から傷付きにいくんだから、厄介だよな。
だけど・・・。
探していたユキちゃんが、女孕ませて大学辞めていたなんて知ったら、あいつショック受けるんじゃないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!