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一晩泊めてもらったお礼にと部屋を掃除したり食事を作ったりしてやった相手に、藪から棒にそんな事を言われたら誰だって驚く。
不用意に関わって好意なんて持たれたら気持ち悪いから、こんな風に悠長に食後のお茶なんか啜っている場合じゃないだろう。
今すぐにこの部屋から出ていきたくなるに違いない。
だけどシノブには、戸惑うような様子は見せているものの、この部屋から退散しようとする気配はない。
「しねぇよ! つーか、した所で、お前モテそうだし、そういうのに不自由しなさそうだし、気持ち悪いくらいにしか思わねぇだろうけどな! けど、周りをうろつかれると、いつか手を出しそうで嫌なんだよ」
「手を出したら駄目なんですか?」
「ダメに決まってるだろ。お前、高校生だろ。オレはこんなんだけど、一応成人してんの!」
オレが男を恋愛対象として見る事は世間体が悪いっていうだけで済むけど、その相手が高校生だったならもっと別の問題が発生してしまう。
「駄目な理由は、俺が高校生っていう事だけですか?」
またしても質問だ。
こいつの口は訊ねることしかできないのか!
しかも、シノブが高校生であるという事は、オレの中では最大の問題ではない。
そこを突いてきやがるのは、本当可愛くない。
「それ以前に気持ち悪いだろ」
「全然」
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