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オレが言いたいのはそういう事ではなくて、たった一晩泊めてやっただけのガキが、どうして屋外のベランダにある洗濯機の中を覗く必要があるのかって事だ。
そもそも、オレが聞きたいのはそういう事でもなくて、熱出して寝込んでいた奴がどうして元気に動き回っているのか、だ。
「今日は天気も良いし、午後からでも乾きますよ」
そんな事、これっぽっちも心配していない。
それに、オレが自分で洗濯する時も、午後からの方が多いしな。
授業が終わって、バイトとの合間とか。
「玄関も、台所も、お前がやったのか?」
「はい。あと、お風呂とトイレも」
ガキは、悪びれもせずに笑顔で頷く。
「へぇー・・・」
何だか力が抜けてしまった。
今時のガキは、知らない人間の下着でも平気で干せるし、風呂やトイレの掃除もできるんだな。
オレには無理だけど。
「あと、冷蔵庫の中に色々買い足しておきました。後で晩ご飯作りますね」
「え?」
「何が好きなのか分からなかったから、とりあえず万人受けするカレーにします」
「カレー・・・」
この会話、何か変じゃないか?
引っかかっているのはオレだけなのか?
「もしかして、嫌いですか? カレー」
「いや、そうじゃなくて。てか、オレこれからバイトだし」
「それなら待っています。何時に終わるんですか?」
「ちょっと待て!」
堪らずタイムを取った。
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