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 それからの日曜日は、いつも浅野と早朝ランニングをするようになった。 「楽しく走れたらそれでいい」という浅野の言葉に甘えて、僕のペースで運動公園内を走る。最初はただ苦しかった走りも、回数をこなす毎に心地よい爽快感に変わっていった。  ランニングの後は大抵図書館に行った。僕の趣味の時間も尊重したいという浅野の心遣いだろう。待たせたら悪いなんて思っていたのは最初だけで、浅野はコンピュータに関する本や漫画を借りて、中庭で夢中になって読んでいるから、僕も時間を気にすることなく小説を読み耽った。  昼になったら一緒に弁当を食べた。弁当は浅野が作ってくれる。ご飯と甘い卵焼きとから揚げとか、バゲットに分厚いハムとチーズとレタスを挟んだサンドとか、とにかく男っぽい料理だけど、浅野が僕のために作ってくれたと思うと、嬉しい。そしてなによりも、美味しかった。  公園のベンチで一週間の出来事なんかを話しながらもりもり食べて、満腹で眠くなった浅野がベンチで寝転んで、そんな浅野の寝息を聞きながら、僕は借りた本を読む。そのうち眠くなった僕が、狭いベンチに浅野と頭をぶつけるようにして一緒に寝転ぶ。春の木漏れ日を浴びながら、午後の穏やかな時間を過ごす。  そんな風に過ごしているから、長年部屋に閉じこもっていた僕は次第に日焼けして、身体も見た目に分かるくらい筋肉がついてきて、ひょろひょろの体型は相変わらずだが、ぐっと逞しくなってきた。
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