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 寝室のドアが開いていたので、覗いてみる。部屋のほとんどを占める、大きなベッド。それにデスクにパソコンが二台。書棚にたくさんの本と漫画と雑誌。物が多いけど、よく片付けられた部屋だった。  コーヒーとチョコレート菓子をトレーに乗せて運んできた貴裕が、ソファの隣に腰掛ける。 「蒼一さん、なんか楽しそう」 「ああ、貴裕がどんな生活してるか見られて、ちょっと楽しい。パソコンいっぱいあるな」 「大学の専攻、情報工学だったんです。パソコンいじるのは大好き」  いつもと変わりない、とりとめのない話をしながら、貴裕の淹れてくれたコーヒーを飲んだ。部屋のなかにいても、雨の音がさあさあと聴こえている。話が途切れたところで、貴裕が「ちょっとすみません」と言って突然カーゴパンツを脱ぎ始めた。 「足、外します。窮屈だから」  そう言って、すっぽりと義足を外してしまった。 「家の中ではいつも杖なんです。これ長くつけてると、汗かくし蒸れるし、傷になったりしちゃうんで」  剥き出しになった貴裕の左脚を見つめる。切断した脚を間近で見るのは、これが初めてだった。ついまじまじと見つめる僕の視線に、すこし困ったように笑いながら、貴裕が「触ってみます?」と訊ねてくる。
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