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「……っん、はあっ…」  自分でも驚くくらい甘ったるい吐息が漏れて、恥ずかしさでどうかなりそうだった。ようやく離れたと思ったら、今度は貴裕のくちびるが、顎から喉にかけてゆっくりと伝い落ちてくる。その感触に肌が一気に粟立ち、身悶えた。 「……待て、……離せって、」  まるで喘ぐような声音を恥ずかしいと感じながら、それでも精一杯声を絞り出す。 「無理。蒼一さんが悪いんです。あんなこと言うから」 「貴裕、」 「好きだから、もう我慢できない」 「……」 「お願い。触るだけだから、」  頬を摺り寄せられる。身体をぎゅっと抱きしめられて、子どもみたいに縋りつかれたら、強張っていた身体の力が徐々に抜けていった。それを敏感に感じ取った貴裕が、ふっと微笑んだ。  両頬を手のひらで挟まれた後、これまでに見たことのないような真摯さで、貴裕が僕の瞳を見据えてくる。 「蒼一さん、好きです」 「……」  言葉をうしなって固まった僕に苦笑した貴裕が、突然耳を甘噛みしてきた。 「……っ!」  器用な動きでシャツの裾から侵入した右手の指先が、脇腹を掠める。 「蒼一さんが好きです。……大好き」  耳許で低く囁かれて、身体じゅうに甘やかな電流が駆け巡った。
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